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漂流

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 漂流

 著者:吉村 昭 発行所:新潮社

 天明2年から4年にかけて異常気象が続き、おまけに大暴風雨襲来により、耕作物も大被害を受けた。

 そして、翌5年、1785年江戸時代後期の土佐ノ国から物語は始まる。土佐藩では、前年までの飢饉に

 より餓死者も出て、特に被害のひどい村に救済のため米を送ることになった。その米を運ぶべく駆り

 出されたのが、主人公の長平24歳、同じ歳の幼馴染の音吉、水主頭の源右衛門、炊事係の甚兵衛、船

 主と船頭を兼ねた儀七の5人が乗った三百石船の弁材船であった。米をおろし、儀七だけは陸路で帰る

 ことになり、残り4人で赤岡へ帰ることとなった。しかし、安芸の沖合いに差し掛かった頃、強烈な

 北西風に煽られて、どんどんと流され、また大しけにもなり、次々と船も壊れていき、最後は転覆を免

 れて帆柱を切り倒すことになった。生死をさまよい続けて、彼らは無人島にたどり着く。

   今の鳥島である。

 もちろん彼らはそこがどこかも知るよしもない。そこは、湧き水もなく、緑もない絶海の孤島であった。

 近くを通る船影も見えない唯一あほう鳥が、秋から春までヒナをかえすだけの場所であった。栄養失調で

 次々と死んでいく中、なんとあほう鳥を主食にした長平だけが生き残り12年に及ぶ苦闘の末に、ついに

 生還する壮絶なサバイバル物語である。☆☆☆☆☆

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                 鳥島とあほう鳥