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2017年08月02日

羆嵐

羆嵐(くまあらし)

著者:吉村 昭 発行所 新潮社

時は、大正4年12月、日本獣害史上最大の惨事が起こった。

北海道天塩山麓の開拓村を突如、巨大な羆(ひぐま)が襲い、2日間で六人を

食い殺す事件が起こった。内地からこの北海道に移り住んだ住民を戦慄させ

たこの事件、内地の熊は、木の実などの植物を常食として、最大でも110キロ

ほど、しかし、この北海道に生息する羆は、最大の物で300キロを超え、牛や

馬の頸骨を一撃で叩き折り、内臓や骨まで食べつくす。日本最凶の肉食獣である。

急報を聞きつけ、警察の分署長を指揮者に、他地区からの救援隊も加え約150名

が駆け付けた。銃携行者も30名を超えていたが、それは単なる烏合の衆に過ぎ

なかった。通称銀オヤジ、鬼鹿村に住む羆専門の猟師山岡銀四郎。

年に2.3頭は必ず羆を仕とめる猛者であるが、素行が悪く、嫌われ者であった。

区長は、どう見てもこの150名では、あの羆を殺すことはおぼつかないと、

密かに銀四郎に使者を送ったのである。

そして銀オヤジと荒れ狂う383キロの羆との駆け引きが始まった。☆☆☆☆

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この地で7才で、事件に遭遇した大川春義氏は、これを契機に羆撃ちになった。

大川氏は、犠牲者1人につき、10頭の羆に復讐すると誓いをたて、ほとんど1人

で山に入った。そして引退するまでに102頭の羆を仕とめた。