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2017年08月08日

高熱隧道

高熱隧道(こうねつずいどう)

著者:吉村 昭 発行所:新潮社

有名な映画「黒部の太陽」は、戦後の黒四ダム工事の話ですが、この小説は、

昭和11年着工、昭和15年完工の黒部第三発電所の物語である。犠牲者300名

を超えるこの難工事は、昭和12年支那事変より16年の太平洋戦争を背景に、

軍需工業力強化の必要性上、国家プロジェクトに近い工事であった。

第一から第三までの工区に分けて落札されたが、最上流のもっとも長い第一

工区では、温泉湧出地帯に突き当り、岩盤温度が掘削する度に上り続ける現象

が起き、落札した加瀬組が工事放棄してしまった。第一工区では、30メートル

も進めば、摂氏65度の熱い岩盤に突き当り、進めば進むほど温度が上昇する事

が予想される難工事であった。ついには、100度を超えるの中での超過酷なトン

ネル工事となった。ダイナマイト使用制限温度は40度、ついに自然発火の惨事

が起こった。立ち会っていた8人の人夫の命が散った。

そして、続いて泡雪崩(大型台風の約15倍もの爆風)により84名が宿舎ごと

吹き飛ばされる大惨事まで起こった。何度も工事中止の状況に追い込まれていく。

ついには、摂氏165度というとんでもない温度にまで上昇してしまう。

しかし、技術者たちは、この大自然の猛威の中、トンネル貫通に賭ける情熱と

執念で果敢に立ち向かってゆく。☆☆☆☆☆

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