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2018年10月02日

嶽神 白銀渡り・湖底の黄金

嶽神(上)白銀渡り

嶽神(下)湖底の黄金

著者:長谷川 卓 発行所:講談社

右耳から左耳へ、顔を横切る刀傷。掟を破り山の者の集団から追放された者。

どこかに定住することも許されず、死ぬまで山から山へ一人で渡らねばならない。

それを「ひとり渡り」と呼ぶ。

ひとり渡りで5年が過ぎ、31歳になった多十(たじゅう)。

病となり、逃げ落ちる勝頼一行からわずかな塩と味噌をもらい受けた多十。その恩義

のため、武田唯一の嫡流である5歳の若千代を田野から救い出した多十。

莫大な武田の御遺金を探る真田・徳川・北条。真田の猿が、徳川の命を受けた伊賀忍者

集団が、また北条の風魔が、唯一の生き残り若千代を追う。圧倒的な劣勢の中、多十の

正義の鉈が振り下ろされる。☆☆☆☆☆

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北条早雲の末子に生まれ、北条五代全てに仕え97歳まで生きたといわれる北条幻庵。

この時90歳。44歳の時に秀吉が生まれ、49歳で家康が生まれた戦国一の古強者である。

風魔を従えた幻庵が、棟梁小太郎との会話の中で、その2人評が面白い。

『秀吉は、信じるに足る身内を崩すことに長けている、だから怖いのだ。

 家康は、平伏し、相手から顔の見えないところで舌を出す。

 それを平気で出来る男であり底知れぬ、あの男は信じてはならぬ。』