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2018年10月11日

嶽神伝 鬼哭

嶽神伝 鬼哭 上・下(がくじんでんきこく)

著者:長谷川 卓 発行所:講談社 

 

鬼哭・・・亡霊が浮かばれないで泣くこと、またその声。

 

家臣同士の領地争いに激怒した若き謙信・景虎。

越後を出奔して、何と山の者の元へ身を寄せる。

供を一人だけ連れて山に入る景虎。慌てて警護に向かう軒猿。

奥深い山で、山の者と生活をし始めた景虎。しきりに家臣は春日山へ戻るよう懇願する。

景虎は言った。

身供は、寺、館、城と入った。どこにあっても足らぬものはなかった。何でも揃っていた。

それが ここではどうだ?住む屋敷どころか、食するものも揃うてはおらぬ。

酒も飲み尽くせば、ないと言う。 この足らぬ心地よさをもう少し味わわせてくれ。と。

景虎出奔の噂は、またたくまに近隣諸国に知れ渡った。この好機を逃してなるべきかと、

最強の忍び集団を送り込み景虎暗殺を謀る晴信。

警護する軒猿と無坂や月草ら山の者と武田最強忍び軍団との死闘が始まった。☆☆☆☆☆

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ひやりとした寒気を感じた。獣の声、鳥の鳴き声、虫の声が止まった。藪の中を木立の中を

すり抜けるように流れてくる人型の影。影に飲み込まれたものは、影に命を吸い取られる。

唯一、塩を足に塗り付ければ、清めとなり、影が足元に及ばない。

山が里の戦のあおりで吸い過ぎた血を吐き出す。

それが浮かばれない霊と結びついて影のように彷徨っているのである。