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2018年12月06日

邂逅の森

邂逅の森(かいこうのもり)

著者:熊谷 達也 発行所:文藝春秋

邂逅・・・思いがけない出会い

 

大正3年、数えで25歳になった松橋富治は、山形県の肘折温泉から深く入り込んだ雪山にいた。

それは寒マタギ、つまり獣を狩る旅の途中であった。物語はそこから始まる。

秋田県の貧農の末子として生まれた富治は、生きていくために14歳からマタギの道に進んだ。

しかし、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われてしまう。時は第一次世界大戦、銅の価格が上が

り始め、マタギからも追われた富治は、阿仁鉱山で働くことになる。

しかし、どうしても山や狩猟への思いがつのり、再びマタギとして他地区で生きてゆく道を選ぶ富治。

様々な出会いや別れを繰り返しながら、人間の本質を見据えた骨太なドラマが綴られていく感動大作。

☆☆☆☆☆

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直木賞・山本周五郎賞の史上初のダブル受賞作。


マタギは、「山の神様」に対する信仰が非常に厚い。山の神様は、ある時は動物に姿を変え、

ある時は木々や森となり、風や雲にもなり、マタギを助け、導いてくれる。

しかし、山の神様の声を聞くためには、意識・感覚を獣の領域に近づけねばならない。

そのために女断ちををして欲を封じ込め、水垢離をして身を清め、足腰を鍛えなおすために

近場の山を歩く。そして、ようやく獣を狩る旅に出られるのである。